音楽劇「ダ・ポンテ」感想
音楽劇「ダ・ポンテ モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才」@ブリリアホールの簡単な感想です。なお、ミュージカルと音楽劇の違いはいまだによくわからず。
辛め感想なので、好き方すみません。
2023年ワーストを選べと言われたらこれかなという感じです。海宝さんが歌うというので見に行ったけれど、正直行かなくてもよかったなと。
この作品は何がやりたかったんですかね?人気ミュージカル「モーツァルト!」の二番煎じを狙っているようにしか見えなかった。
歌も印象に残るものはなく、ただの無味乾燥な文章を音に乗せているだけに思えた。詩人を描いた作品なのに。時々流れるモーツァルトの実際の楽曲はやっぱりいい曲だな、となってしまった。ダ・ポンテのユダヤ人としてのバックグランドとか、ヨーロッパを転々として最後はアメリカに渡ったとか興味深い要素はあったので、中途半端な音楽劇ではなくストレートプレイでモーツァルトの音楽が時々流れるくらいのが見やすかったかもと思ったり。
出演者も海宝さんはそりゃ歌はうまいけども、曲がよくないので熱演が空回りに見えた。この作品に出るくらいならムーラン・ルージュ!でクリスチャンやってほしかったな。
他のキャストは歌も演技も妙に大げさで(かつ歌もあまり上手とはいえず…)結構見ているのがきつかったです。ヨーゼフ2世を演じた八十田勇一さんは大げささはなく自然体だけどユーモアがあってよかった。
今のところ日本のオリジナルのミュージカル(これは音楽劇だけど)でよいと思えたものないので、今後日本オリジナルのものは基本見に行くのやめようと思いました。
ミュージカル「ファインディング・ネバーランド」感想
ピーター・パンの作者ジェームズ・バリについて描いたミュージカル"Finding Neverland" @新国立劇場中劇場の簡単な感想。
ジョニー・デップとケイト・ウィンスレットが出演した原作映画は昔見ていて、結構好きだった。ミュージカルはブロードウェイではGleeのシュー先生(マシュー・モリソン)が主演だったのは知ってた。昔日本に来日公演もあったとか、ブロードウェイ入りる前はジェレミー・ジョーダンがバリを演じていたこともあるとか、ミュージカルをよく見に行くようになってから知ったことも多い。
今回は日本語版では初演で、オリジナル演出。
曲がとても美しかったし、つらい現実があっても物語や夢を見ることが救いになることがあるというテーマもとてもよかった。子役たちが一生懸命演じているだけで涙ちょちょぎれる系なので、最後は泣いた。
ただ、演出が、どうしようもなくダサいというか、予算足りなかったのかな…という残念な感じ。どう考えても21世紀のEテレに出てきそうな着ぐるみとか、どうにもならないくらいダサいダンスを踊るフック船長と海賊たちとか。
あと、主演の山崎育三郎さんもヒロインの濱田めぐみさんも、あんまり役に合ってなかった気がする。どちらも歌はとても上手で、ここを盛り上げてほしい!というところでちゃんと感情をこめて歌い上げてくれるので、満足度は高い(これくらいは最低限であってほしいのだけど、残念ながら主要キャスト全員にこのクオリティがある公演は日本では少ない)。けど、山崎さんはちょっとクセが強いというかナルシストっぽいので創作に悩む劇作家には見えないし、濱田さんも病気で死んでしまうお母さんには見えない…。そして何より二人の相性が悪いのか、ロマンスが生まれるようには見えない。なんていうか、二人ともスターなんだけど、マーベルのスーパーヒーローとDCコミックのスーパーヒーローみたいっていうか、同じ世界線にいる感じがしないというか…。
子役さんたちも皆かわいかったし上手でよかったです。
東京・春・音楽祭「トスカ」コンサート
春の音楽祭の感想を真冬に書きます。
たまにはクラシックも、ということで、歌劇「トスカ」のコンサート形式版の公演@東京文化会館に行ってきました。
音楽が美しく、至福の時間。
なんといっても、スカルピア役のブリン・ターフェルさんの憎らしさ、迫力、素晴らしかった。
スカルピアは極悪非道なので、トスカが、死ね!この悪党!と殺したときには拍手喝采したくなっちゃった。
ムーラン・ルージュ!のミュージカルに足りないのはこれだよ!となりました。
それにしても、トスカを見るたびに思い出してしまうのが漫画「動物のお医者さん」。
そういう人は結構多いのでは。
小さい頃に読んだけれども、今でも大好きな漫画だし、私の教養(?)の基礎を作っているといってよい漫画です。
ミュージカル「マチルダ」感想
今年の感想今年のうちに。4月にミュージカル「マチルダ」をシアターオーブに見に行った感想。
2010年に英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーが製作した、ロアルド・ダールの児童文学原作のミュージカル。日本では今回が初演。
公演の少し前にNetflixで映画版が公開されてて、それは見てた。原作を知らなかったので、「あ、こういう話なのね・・・?」という驚きと、校長が怖すぎるし子供が辛い目に合うの見てて辛い、となって、それほど乗れず。
舞台版は評価が高いので、また印象違うかな?と思ったけど、確かに映画よりは絵作りがもっと児童文学っぽくて見やすくはあった。ただ、すごく好きとまではいかなかったかな。
でも、マチルダの、人生が不公平だからって耐えているだけじゃ変わらない、間違っていることには抵抗して正さなきゃ!というメッセージは好きだった。それにしてもイギリスって子供がひどい目にあう文学が多いな。
あと、日本版は子役の人数が少なくて、キダルトと言われる大人が子供役を演じていた。しかし、この作品、子役が一生懸命演じたり歌ったりしているのを見て、それだけで涙ちょちょぎれちゃう、って感じの作品なのだと思うけど、大人が演じていると、そうはなりにくい。というか、私は大人が子供を演じるのを見るのがちょっと苦手で…それもマイナスだったかも。
キャストは、昆さんのミス・ハニーと小野田さんのトランチブル先生が見たかったので、この二人で見れて満足。
ミュージカル「太平洋序曲」感想
ミュージカル「太平洋序曲」@日生劇場の感想です。
思ったよりも抽選で当たってしまって、3回見に行った。
キャストはジョン万次郎以外は固定。海宝さんと山本さんが見たかったので。。
梅田芸術劇場とロンドンのメニエール・チョコレート・ファクトリー劇場の共同制作した、スティーブン・ソンドハイムの作品。
演出と楽曲、そしてアンサンブル含め実力のあるキャストによる歌とパフォーマンスを存分に堪能しました。
トンデモジャパンとか、オリエンタリズムが前面に出てたら嫌だなと思ったら、そういうのはそこまでは気にならなかった(いや、史実とは全然異なる幕末ストーリーが展開されるのだけど)。演出はなんとなく海外の博物館・美術館の日本コーナーという感じで、実際の日本という感じはしないんだけど、美しくて洗練されていた。
ただ、最後のNextのとこは、何が言いたいのかよくわからず、唐突にすごい安っぽい映像を背景にちぐはぐなダンスが始まって、ぽかーんとなった。意味わからな過ぎて、首を90度曲げながら高速瞬きになってしまいました。
あれは、なにかの風刺や皮肉なのか?でもはっきりいって失敗していると思う。
この作品が作られた当時とは日本の世界における立ち位置は変わっているというのもあるし、やはり海外からみた日本ではあるので、日本で生きる私がみると、釈然としないものが残るというのはある。
音楽はほんとうに素晴らしくて、歌唱力の高いキャストが、ちゃんんと楽譜通りに歌うとこんなきれいにハーモニーって聞こえるのね、音楽って素晴らしい…ってなった。
ミュージカル「ジェーン・エア」感想
ニューヨークから帰ってきて最初に日本で見た作品「ジェーン・エア」@東京芸術劇場プレイハウスの感想。
なぜか抽選で運よく当たって2回見に行った。どちらもジェーンは屋比久さん。
ジョン・ケアード演出、ポール・ゴードン作詞・作曲の本作。
よかったです!曲も演出も好きだった。
多分原作知らないと、なんじゃこりゃになるかもだけど、私は原作の展開知ってたので、私が記憶していた原作の世界観が表現されているのに感動した。
私の中では、「ジェーン・エア」は、登場人物全員うっすら狂気をはらんでいて、荒涼とした風景が広がるイメージなので。
今見ると、18歳のジェーンに救いを求める20歳以上年上のロチェスターには、ゲッって感じは大いにあるけど(しかも精神を病んだ妻がいることを隠して結婚しようとする)。でも、まあ運命の愛なので仕方ない。
キャストはとにかく屋比久さんのまっすぐな歌声が、信じた道を貫くジェーンにぴったりだった。
井上さんは、正直ロチェスターのイメージには合わないんだけど、さすがの歌唱力。こういうクラシカルよりな小難しい曲が似合う。
歌唱力の高い二人が、気持ちよく歌い上げてくれるのでノーストレスでした。
ジェーンのダブルキャストで、私が見た回ではヘレン役の上白石萌音さんは出番少ないけど、透き通るような演技が印象的でした。
訳詞がところどころ不自然なのは気になった。「月とすっぽん」とか歌われると、すっぽんは当時のイギリスにいたのだろうか…って思っちゃうし。少なくともこのことわざはないんじゃないかな(あったらすみません)。
曲が気に入ったので、ブロードウェイキャストのアルバム買ったのだけど、そのあとそのキャストアルバムのロチェスター役の俳優の事件を知って、げっとなった。知ってたら買わなかったかも。