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ニューヨーク旅行 「Here Lies Love」感想

夏のニューヨーク観劇旅行。次はこちら”Here Lies Love” @Broadway Theatre。

デイヴィット・バーンとファットボーイ・スリムによるコンセプトアルバムをミュージカル化した作品。

フィリピンのフェルディナンド・マルコス元大統領の夫人イメルダ・マルコスの人生を描いた作品です。キャストがすべてフィリピン系の俳優さんというのはブロードウェイでは初だとか。

 

 

私がこのミュージカルを見に行こうと思ったのは、オーケストラ席をディスコのダンスフロアのようにしているImmersive(没入型)な作品がどんな感じなのか知りたかったというのと、アキノの母親役でレア・サロンガさんが期間限定で出ていたから。

 

多分フロアの席を買うのが正解だったんだろうけど、90分の短め演目とはいえ連日出歩いていたので立ちっぱなしはつらそうと思ったのと、一人でノリノリのダンスフロアに行く勇気が持てず…安めの2階後方席を購入しました。

 

シャンデリアのある格式高そうな劇場なんだけど、ギラギラの照明でまるでディスコ(ディスコいったことないけど)

フロアにあるお立ち台みたいな舞台はぐるぐる回転するので、フロアの観客はぐるぐるとミキシングされます。DJもいて、お友達と離れ離れになっちゃうかもだけど、新しくお友達作ってねー!みたいなこと言ってた。

劇場スタッフもみんなノリノリで、始まる前から、イエーイ!盛り上がってるー?って感じで話しかけてくるので、ちょっとたじたじ。

あと、2階席だからといって、ずっと座って見ていられるわけではなく、途中立って踊らされます。

それ自体は楽しいのだけど、独裁者に熱狂するシーンでHand  up! Yeah!!みたいな感じで踊らされるのはなんかちょっと抵抗あった。

ただ、おそらくこれは意図的な演出かと思った。最後にはギラギラのディスコみたいな舞台はすべて取り払われるので。独裁者夫妻とそれに熱狂した人々の虚飾をこの空間で描いていたのかなと。決してイメルダを美化した作品ではなく、描きたかったのは民衆の力による民主化だということはわかるようになっていた。
最後には、現在のフィリピンの大統領がマルコスの息子であることにも言及されていた。

 

ただ、ちょっともやっとしたのは、これがアメリカで作られていることなんだよね。もし日本の現代史をもとに日本の政治家についてこうしたミュージカルが外国で作られていたら、すごく複雑な気持ちになるだろうなと思った。太平洋序曲ですら複雑な気持ちになったので。フィリピンやフィリピンのルーツのある方たちはこの作品をどう捉えているのだろう。

 

キャストについてはイメルダ役のArielle Jacobsは歌も上手で素敵だった。アラジンのブロードウェイオリジナルキャストで今年のニューイヤーコンサートで来日したAdam Jacobsさんの妹さんなんですね。

レア・サロンガ様は、1曲のみの登場で、もっと歌聴きたいよー!ってなった。でも見れてよかった!!

あと、ニノイ・アキノ役のConrad Ricamoraさんも、ドラマ「殺人を無罪にする方法」のオリバー役が印象的だったので見たかったのだけど、残念ながらお休みでアンダースタディの方でした。その方もとても良い声で上手だったけど。分かっていても暗殺シーンは衝撃的だった。

 

すでにブロードウェイの公演はクローズしてしまったけど、なかなか得難い観劇経験でした。