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ミュージカル「エリザベート」(Blue-ray鑑賞)感想

東宝ミュージカル「エリザベート」の2016年公演を収録したBlu-rayを鑑賞したので、その感想。

あくまでも映像での鑑賞なので、劇場で生で見たら感想が全然異なる可能性あります。

 

 

購入したのは井上芳雄さんがトートを演じているBlackバージョン。

 

感想としては、エリザベートの人生をただ描くだけでなく、ルキーニを狂言回しにして死という概念の人物を登場させるところが面白く、少女漫画的でありながらハプスブルク帝国の終焉、更にはその後の世界大戦を予兆する不穏な感じも大変好みでした。あの時代の君主は時代の流れ的に仕方ないとはいえ、不幸が多いものね。自由を望む女性が古いしきたりから逃れようともがくものの孤独になり、最後には死だけが彼女を解き放つなんて、現代にも通ずるテーマと思ったし。

曲もどれも好きだったので、2012年のウィーン版のキャストアルバムを購入した。

 

キャストはルキーニ役の成河さんがとにかく素晴らしく、彼の演技を見れるだけでもBlu-ray購入の価値ありと思う。他のキャストも皆さん良いのですが…正直エリザベートはもっと歌のうまい人が歌ってるのを見てみたい。

トート役の井上さんはさすが歌が上手、なんだけど、トートってこんな感じに色々趣向を凝らして登場するお茶目さんなんだ??ってとこにびっくりした笑。今、椅子の後ろに隠れてました?とか、変装までしちゃって芸が細かいわねとか。

 

という感じで、東宝版悪くないし、Blu-ray購入に後悔はないのですが、ウィーン版の動画とか見ちゃうと、歌唱力的な意味でも演出の意味でもウィーン版を観たいなぁと思っちゃった。再演版のエリザベートのマヤ・ハクフォートさんの歌を聴くと、同じ歌と思えないくらい素晴らしいので…。

 

あと、東宝版(というより宝塚版)の黄泉の帝王トート閣下という設定よりも、オリジナルの死そのものの方がなんか文学的だし、ロマンチックじゃないですか?

 

それと、ウィーン版だとエリザベートとトートはがっつり絡みがあるので、死は常にエリザベートのそばにあって表裏一体で惹かれながらも恐れているというのが分かるんだけど、東宝版はトートもエリザベートもそれぞれが私がスターでございますって感じで別々の方向見ながらまさに踊る時は1人で踊るわなシーンが多いように思い、うーん、解釈違いってなる。

 

東宝版はルドルフとトートがダンスバトル始めるのもびっくりしてしまったし、なんかアイドルダンスって感じでこれまた解釈違い…。

 

ハーケンクロイツをあんなでかでかと出すのもちょっと無邪気すぎない?って思ったし(もちろん批判的文脈なのはわかります)、東宝版の演出は所々首を捻ってしまうとこがあった。

 

東宝版の感想からは脱線するのだけど…2012年のウィーン版はトート役のマーク・ザイベルトさんがめちゃくちゃかっこいい!衣装もシンプルな黒か白で、慇懃無礼で端正な悪魔って感じで好き!歌声も素敵。2013年とかに日本に来日してコンサートなどもあったらしく…うわーん、見たかった!!

 

 

マーク・ザイベルトさんは、モーツァルト!にもコロレド大司教役で出演していてそれもまためちゃくちゃかっこいい。なぜか胸をはだけて素晴らしい胸筋と腹筋も見せてくれちゃったりして、何それずるい!ってなった(日本版のキャストの方は…見た目はともかく、歌と演技が酷すぎてこの人が出てる間は絶対見に行かないと決めたくらいなので)。

 

とこんな感じでエリザベート視聴は楽しかった!日本は2020年の公演がコロナで中止になってるので、再演あるといいですね。