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ミュージカル「アリージャンス」日米版比較など

ミュージカル「アリージャンス」関連の備忘録。

 

Allegiance - The Broadway Musical

 

今年3月にミュージカル「アリージャンス」の日本版を観劇して、とてもよかったのでブロードウェイのオリジナル版を見たくなり、DVDを購入した。

 

 

アリージャンスのDVDは日本語字幕がついているし、日本のDVDプレイヤーでも再生できる。購入は下記サイトからできる。DVDが約20ドルで、送料併せて約50ドルだったので、送料の方が高い…。注文から、届くまでには1か月くらいかかった。

 

Allegiance - The Broadway Musical on DVDdvdset.allegiancemusical.com

 

日本版とストーリーと演出には大きな差はないように思ったけど、家族の間の情愛・葛藤なんかは日本版の方がエモーショナルだったように思った。ブロードウェイ版はもっとサクサク進む感じ。けどこれは言語の違いから受ける印象のせいかも。

当然ながらブロードウェイ版は日本版と違って、日系人と白人、日本語と英語の区別が明確なので違和感を感じないで見やすい。

一方で、メインキャスト含め日系人にみえない(アジア系という超大きなくくりでキャスティングされている)キャストが結構いるという違和感はある…歌唱力・演技力とかネームバリューとかと両立は難しいんだろうけど。似たようなことは海外ドラマ・映画でも頻発しているけど、役柄の属性と違う人が演じることやアジア系蔑視・軽視への批判は強まっているから、今後は変わっていくのかな。

 

キャストについては、もうケイ役のレア・サロンガ様の歌の素晴らしさは言うまでもない。サミー役のテリー・リアンさんもとてもよいのだけど、私は海宝さんの声の方が好きなので…。あとね、日本版は何といっても濱田めぐみさんと海宝さんの姉弟感がものすごい説得力だなと改めて思った。8月に日本版「アリージャンス」がネット配信された際にアフタートークショーも見たけど、二人は会話しなくても通じ合えているという話があったり、他のキャストから見ても本物の姉弟みたいだったという話があったので、もうこれはキャスティングが大正解。

そして、ブロードウェイ版は、なんといってもフランキー役のマイケル・K・リー様がかっこいい。かっこよすぎる。知的でセクシーなので、これはケイも危険を冒して助けようとしちゃうわ。

”Paradise”のダンスパーティーシーンの後、ケイに対して言うとても素敵なセリフ

"you're a woman who wears a political statement in her hair. you are so much more than somebody's sister,or daughter,or granddaughter. So much more."

の”So much more."の言い方がかっこよすぎて「ぎゃー」と叫んだ(笑)

日本版の中河内さんもダンスとかとてもかっこいいのだけど、どうしてもゴロツキっぽく見えてしまう(ジャージーボーイズでもトミー役だし…)のと、濱田さんとのバランスという点ではやはり物足りなかった。

ジョージ・タケイさんのおじいちゃん(ちなみにブロードウェイ版でもおじいちゃんは「おじいちゃん」)とオールドサミー、どちらもよかった。あとブロードウェイ版ではサミーの写真が載ったTIMEのタツオパパの言葉は「私のヒーロー」って日本語で書いてあるのがわかってよかった…あのシーンは何度見ても泣いてしまう。

あと、ブロードウェイ版はマイク・マサオカがなんかずっと早口でまくしたてているだけに見えて微妙と思った。日本版の今井さんは滑舌もよくメリハリのある演技で作品を引き締めていてとてもよかったと思うので。

 

ヘンテコ日本文化描写(ありがちな着物の左前とか)みたいのはそんなにないように感じたけど、日本語でケイとおじいちゃんが歌う「石から石」の「石から石、山は移動できる。優しい小川は谷間を掘れる」って歌詞はまあ直訳するとそうなるのわからんでもないけど…変だよって歌詞になっていたので、日本版では「小さな石で山も動かせる。細い小川でも谷間を削る」になってた。

 

ところで、ブロードウェイ版のDVDは録音がよくないのか、歌声が聞こえにくくて音量上げるとオケの音がうるさくなってしまうのが残念だった…。

 

ドラマ「コールドケース

「アリージャンス」を見る前に第二次大戦中の日系人強制収用を扱った作品で、私が真っ先に思い浮かべたのがアメリカのドラマ「コールドケース」。2003年から2010年まで放送された未解決事件を扱った刑事ドラマ。事件当時の映像と現在の映像が交互に入れ替わったり、事件当時のヒットナンバーが流れる演出が特徴で、WOWOWで放送されていた頃好きで見てた。このドラマは、人種問題を扱ったエピソードが特によくて、日系人強制収用を扱ったシーズン5第11話「封筒」もその一つ。

 

最近アマプラで配信しているのがわかったので、見直してみた。コールドケースで出てくるのはハートマウンテンではなくマンザナー強制収容所というカリフォルニア州の収容施設。

改めてみると、質問票やツールレイク、442部隊やパープルハート勲章とか出てきていたんですよね。質問票と入隊に関する日系人間の分断も描かれていた。このドラマの中では父親が入隊をポジティブにとらえていて、息子は入隊をしたくないというのは「アリージャンス」とは逆だった(後に父親との対立から息子は入隊してしまい悲劇が起こるのだけど…)。日系人に対する差別を批判的に描く一方、太平洋戦線に従軍したアメリカ人(白人)兵士のトラウマにも触れられていたり、911の後、アラブ系の隣に座れたか?みたいなセリフで現状に対しての批判もちゃんとあったりして、なんというか、すごくちゃんと作られているなと思った。