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ミュージカル「ガイズ&ドールズ」感想

これまただいぶ観劇から時間がたってしまったけど、6月に帝国劇場に見に行ったミュージカル「ガイズ&ドールズ」の感想。

 

 

 

 

プリンシパルキャストが錚々たるスター揃いだけにチケット難の公演だったけど、運よくイープラスの貸切公演の抽選が当たった。

 

見たかった理由はキャストというよりは、演出がマイケル・アーデンだったから。「春のめざめ」と「アイランド」でトニー賞に二度ノミネートされている注目の若手演出家ということで興味を惹かれたので。

 

「ガイズ&ドールズ」は1950年初演のミュージカルで、マーロン・ブランドフランク・シナトラが出演した映画などで言わずと知れた名作。

とはいっても、私はたいして知らず、ずいぶん前にユアン・マクレガーとジェーン・クラコウスキ(アリーmyラブのエレイン)が出演するというのは耳にしたことがあるとか、有名な「座れ、船が揺れる(Sit Down, You're Rocking The Boat)」はGleeとかトニー賞のパフォーマンスとかで見たことがあったかなあというくらい。

 

感想としては、演出やダンス、舞台装置が素晴らしい。俳優さんたちも(歌はともかく)さすがのスターオーラで魅力的。曲は聴いてみるとどれも聴いたことがある曲ばっかりで楽しめる。ストーリーは古臭くて賞味期限切れ。という感じ。

 

以下、ネタバレ(というほど大した話ではないが…)ありの感想

 

 

まず意外性があって印象に残ったのがオープニング。幕の上にキャスト・スタッフのクレジットが映し出されて、その後ろ側に1930年代のNYの街並みが見えてて、男女が次々と現れて音楽に合わせてダンスしたり歩いたりしてる。往年のハリウッド映画のオープニングみたいな感じ。舞台なので視点は固定されているはずなのに、人物が次から次へと動いていくので、街を俯瞰してみているような感覚になる。見事だなあと思いつつ、これは「古い時代の作品で価値観の古いお話だからね!」ってエクスキューズなのかなあとも。

 

そして次に目を引くのがでかいビルの舞台装置。2階建てで、その2階のお店にちゃんと店員さんがいて動いている。さらにはそのビルが回転して上下して、地下には救世軍の拠点があって、さらには屋上もある。これだけでかい装置がぐるぐる回って上下できるのは帝劇のようなでかい劇場じゃないと無理だよね…これは本当に見ごたえあった。

しかも、キューバや下水道の場面ではこのビルは出てこないのでこのビルをどこかに収納しているのだよね…いやはや。

地下鉄の入り口の階段が飛行機のタラップに代わるのも面白かった。

 

ダンスは冒頭シーンのほかにもキューバや下水道のシーンの奥行をうまくつかったスタイリッシュなダンスもあれば、アデレイドのナイトクラブのちょっとばかばかしいような(ああいうのをCampというのかしら)のもあって見ていて楽しい。

 

そんでもって、この装置やらダンスやらでの場面のつなぎもうまく、中だるみしない演出。

見事な演出、ダンス、装置はいずれも海外スタッフなのよね…。

なんつーか、たいして作品数をみていないけれども、日本の「だ、ダサい…」という演出やらダンスやらを見てきているので、この違いはなぜなんだいと思ってしまう。

 

ストーリーは、いちいち言及するのもあほらしいけど、結婚したい女と、結婚から逃れたい男たち、みたいなすでにカビが生えたジェンダー観に基づいていて、まあもう古典作品だから…と思うしかない。。現代にも通ずる価値観が…みたいな製作側の言葉をきいても、「いやいやいやいや」となっちゃった。最後にスカイもネイサンもまっとうに?なるわけだけど、それは彼らにとって本当に幸せな生き方なのかい?と思っちゃったり。キリスト教的な価値観がないと理解が難しいのかな…。

 

キャストについては、皆さん華やかでスターオーラがさすがなのだけど、歌は正直うーん。。あと帝劇って1階席だと歌声が聴こえづらいような…。

井上芳雄さんはさすが歌は上手で安定しているのだけど、声質や歌い方があまり好きではないというのは変わらないなあ。でもLuck Be A Ladyは、ザ・スター!って感じでかっこよかった。クラップはよくわからんかったけど、丁か半かみたいなものとして理解した。

浦井さんは、正直テレビで見てもあまり歌がうまいとは思えず…ネイサンはほとんど歌わないので気にならなかったけど。割と縦横無尽に動き回る役だけど、ダンスも動きもきれがあってよかった。演技はちょっと吹替演技風で大げさだったかも。

明日海さんは、とっても美しくて衣装もとても似合っていたのだけど、歌が音域が合っていないのか歌えていなかったのと、演技も妙に大げさな宝塚調というか、役に合っていなかったのでは。

一番びっくりしたのは望海風斗さん。演技がうまい!!本当に宝塚で男役だったんですか!?って思っちゃうほど、典型的な金髪の頭の軽い(ように描かれる)女性を演じていてとってもキュートだった。かなりコミカルなシーンの多いキャラクターなのだけど、間の取り方とか、ちょっとした仕草が上手で、本当にそういう人にみえる。大げさ演技は同じなのに、他の人たちと違って説得力があって魅力的だったのは何なんだろう…。歌は、変な声で歌う役ではあるからわからんけど、うーん、そんなにって感じ。

(どうも宝塚で歌唱力に定評があるとされている方たち、いや、それほどでも…?と思うことが多いのだが…)

 

メインキャスト以外だと、田代万里生さんが随分とおいしい役どころですね…と思った。

 

そして、これまたシアターオーブのガラコンサート(演出はこれまたマイケル・アーデン)でLuck Be A Ladyを聴いたのですが、これが素晴らしくってですね…。ノームさんの歌声に吹っ飛ばされるかと思った。後でまとめて書くつもり。